初夏の風物詩


 僕は四季の物事が好きです。なぜかというと、四季折々の物事が人にもっとも想い出を残すからです。例えばある日美術館に行った想い出などは、そこでよほど印象的な絵でも見なかった限り、めったに思い出さないでしょう。けれど四季の物事は毎年必ず同じ時期にやって来るので、とても思い出しやすいものです。その上去年や一昨年の時のものと比べることが出来るので、それでまた楽しめます。その比較もまた想い出をよりより印象的なものにするでしょう。何よりも、季節で楽しめるものは素晴らしいものばかりです。だから想い出として残るのはほとんど季節を絡めたものです。僕が思うに「人は四季によって思い出を確かにする」のです。

 その中でも、特に瞬間的なもの、一般に「風物詩」と呼ばれるものは特に大きな想い出になります。たとえば正月の日の出とか、春の桜とか、花火大会とか、サザンのライブとかです。その一瞬を待つ間、人は色々な思いを巡らし、そしてその一瞬になると後悔しないようにそれを精一杯楽しみます。だから僕はカレンダーを買ったらまず始めに風物詩を書き込みます。そういうイベントを残さず楽しもうとするためです。

 そういった風物詩というものは、その季節の中でもそれ自体で一つの世界を作っているので、僕はそれ自体で一つの季節と呼んでいいと思います。桜の季節、スイカ割りの季節、紅葉の季節。今、僕は季節を11個くらいもっています。

 で、今日の内容はというと実は、「今日は哲学の道にホタルを見に行ってきた」ということです。ところが今年は色々と忙しすぎてホタルの時期に見に行けなかったのですが、今日新聞で「今年は例年よりホタルの時期が遅いらしい」という記事を見つけてまだいるかと思い、ちょっと様子を見に行ってみました。いつもなら僕はイベントは必ず友達と行くのですが、今回は行ってホタルがいるかどうか分からないので、一人で行きました。 哲学の道に着いて川沿いを歩いてみると、ちらほらと人の姿が見えました。その先には1、2匹ホタルがいました。とても綺麗でした。本来は時期中にはホタルが沢山飛び交っていてメチャクチャ綺麗なんですが、今日のようにちょっとだけいて、それを探して歩いたり見つけてじっと眺めたりするのもいいなあと思いました。人が見つけてない所にホタルを見つけたりなんかするととてもいいですね。 そうして、ホタルを見たり、見に来たおばあさんと話をしたりして家に帰りました。

 途中、おばさん達がホタルの写真を撮っていましたが、光なんかが写真に写るわけありませんし、そういう風に楽しむものでもありません。ホタルやら花火大会やらは写真にも残らないからいいのです。 (了)



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